ブロワー維持費・寿命

ブロワーの交換では、本体価格だけを比べても長期費用は決まりません。必要な風量と圧力、消費電力、交換部品、保守作業、修理しやすさを分けて考える必要があります。

先に結論

TCOの計算方法

TCO = 本体価格 + 電気代 + 消耗品代 + 定期整備工賃 + 修理費 + 期間内の再交換費

電気代は、まず年間電力量を次の式で出します。

年間電力量(kWh) = 消費電力(W) × 24時間 × 365日 ÷ 1000

そのうえで、契約している電気料金の実単価を掛けます。電気料金は契約・地域・時期で変わるため、このページでは固定単価を置きません。

比較表を作るときは、最低限次を同じ欄に入れます。

順位を付けない理由

メーカー公開資料は、風量帯・圧力・機能・保守体系が方式ごとに異なります。本体の実売価格、工賃、修理費、交換時期も契約や地域で変わるため、異なる用途の機種を一つの金額順位に並べると条件差を隠してしまいます。

このページでは、公開仕様で直接比較できる値と、見積り時に入力すべき値を分けます。

家庭用の小風量機

テクノ高槻のDUO-60 / DUO-80は、公開仕様で60 / 80 L/min、常用吐出圧力14.7 kPa、消費電力39 / 58 Wです。日東工器のMEDO LA-80Eは、フリーピストン方式で80 L/min、定格圧力15 kPa、消費電力72 Wです。

24時間連続運転として計算すると、39 Wは年間約342 kWh、58 Wは約508 kWh、72 Wは約631 kWhです。これは電気料金ではなく電力量なので、実際のTCOでは契約単価を掛けます。

同じ80 L/min表記でも機能や構造が異なるため、消費電力だけで機種の優劣を決めません。

フィルタ交換の考え方

確認したメーカー資料では、フィルタ清掃と内部消耗品の定期交換は別の作業として扱われています。テクノ高槻のDUO取扱説明書ではフィルタを補修部品として挙げる一方、1年ごとの交換を推奨しているのはチャンバーブロックです。TOHINは電磁式ブロワについて3か月ごとのフィルタ清掃と、1年ごとのダイヤフラム等の消耗品交換を案内しています。

したがって、フィルタは全機種で毎年必ず新品交換する、と固定しません。汚れ方、清掃可否、機種の取扱説明書、保守点検時の風量・発熱・配管状態を合わせて判断します。

ロータリーベーンの保守

TOHINのSDシリーズは120 L/minからの公開ラインアップがあり、浄化槽・排水処理槽の曝気用途を持ちます。ロータリーベーンではエアーフィルタだけでなく、オイル、オイルフィルタ、Vベルト、ベアリングやシール等が保守対象になります。

エアーフィルタが目詰まりすると、必要な吸気量が不足して風量が低下し、本体温度上昇、オイル消費増加、オイルシールの劣化につながるとメーカーが説明しています。

小型家庭用の60〜80 L/min級から単純に置き換えるのではなく、必要風量、設置スペース、騒音、油管理、ベルト調整を含めて検討します。

ルーツの潤滑と保守

アンレットのルーツブロワは、3葉ルーツ式を採用し、無混油の清浄な空気を特徴として掲げています。一方で、同じ公開説明にグリス補給可能なベアリングやギヤオイル機構も示されています。

このため「ルーツはオイルフリーだから油の管理が一切ない」とは扱いません。送気する空気側に油を混ぜない構成と、ギヤ・ベアリング側の潤滑は分けて考えます。

水処理用途の機種があることと、家庭用浄化槽の小風量域で費用上有利であることも別問題です。

方式別の維持費項目

ダイヤフラム式ではフィルタとダイヤフラム/チャンバーブロック、フリーピストン式ではフィルタとピストン系補修部品、ロータリーベーンではフィルタ・オイル・オイルフィルタ・Vベルト・ベアリング/シール、ルーツでは吸気側保守に加えてギヤ・ベアリング側の潤滑やシール類を確認します。

家庭用の交換判断では、まず必要風量・圧力・逆洗機能を満たす機種に候補を絞り、その候補同士で5年・10年TCOを計算するのが安全です。ロータリーやルーツは、必要風量が大きく、連続運転や保守体制を含めてその方式の利点を使える場合に比較対象へ入れます。

公開メーカー資料だけでは方式横断の寿命年数を同一条件で比較できないため、「ルーツが最長寿命」「ロータリーが最安」といった単一順位は置きません。交換対象の浄化槽が要求する仕様と、実際の見積り・電気単価・保守契約を入れて判断してください。